モー株式会社

ホームへ

新着情報

GEM CASEができるまで

2015年3月にサービスを開始した花屋向け注文・顧客管理システム「GEM CASE」。花屋とシステム開発者、それぞれの立場から、紙文化が根付く花屋業界に画期的存在とも言えるITサービスを放ったふたりに、その想いと課題、今後の構想について聞いた。

--------------------------------------------------

 

《対談》

 

BAROQUE 株式会社 代表取締役 大石康平

×

モー株式会社 代表取締役 春岡豊寿

 

聞き手:鹿田吏子

 

--------------------------------------------------

 

モー株式会社 春岡(以下:春岡):できましたね。

BAROQUE株式会社 大石(以下:大石):できましたね。

春岡:自画自賛ですが、大石さん、「GEM CASE」ができて毎日のお仕事がすごく楽になったのではないかと思っています(笑)。

大石:いや本当に、使えば使うほど便利になってますよ。ありがとうございます。

 

-そもそもシステム作りの構想はいつぐらいから?

 

大石:構想自体は、相当前からあったんです。僕は18歳からアルバイトで花屋業界に入ったんですが、花屋って顧客商売なんですよね。ただ顧客と言っても、毎週店舗に顔を見せてくださる方もいれば、1年に1度の来店が10年続いている方とか、電話だけの方とかもいらっしゃる。その方々を、オーナーはもちろん全部把握しているけれど、入社数ヶ月のアルバイトはわからないんです。それで、電話で注文を受けてお名前や住所を伺おうとすると、「いつも頼んでいるのにまた?」と機嫌を損ねてしまうこともありました。そういった不手際で大切なお客様を逃す可能性もあるわけで、この時ですね、「みんなが共有できる顧客リストが必要だ」と思ったのは。

 

-ずっと温めてきた構想だったんですね。

 

BAROQUE株式会社 大石社長

「これから花屋に求められるのは、

高い技術と、細やかなサービス」

BAROQUE株式会社 大石社長

 

 

大石:当時も自分なりに名刺をフォルダに整理してみたり、導入したばかりのパソコンにデータを入力してみたりいろいろ挑戦していたんです。でもなかなかうまくいかないし、結局はオーナーが動かなければ店のシステムを変えることはできない。そうこうしているうちに、花屋業界に一つの転換期が訪れたというか、花の種類が爆発的に増え、アトリエのようなおしゃれな花屋が街中に見られるようになって。僕も自分のやりたいことに挑戦しようと、2006年にバロックを立ち上げて独立したんです。

 

-その時、顧客管理の仕方については?

 

大石:やはりずっと頭にありました。独立してより強く実感したのですが、花屋は技術だけを追い求めていてはダメ。日常の業務をミスなくこなして顧客に付いていただくことが大切なんです。また、お店でただお客様を待っているだけではなく、お客様の好みや購入履歴を把握し、母の日などイベントの前には顧客にしっかりお知らせする。そうすれば受注率は格段にアップします。そこで既存の顧客システムをインターネットで探し出して使ってみたりもしたんですが、どうもしっくりこない。システムの開発会社に相談もしてみたんですけど、予算がね…(笑)。そこで、今すぐには無理だけれども、店を軌道に乗せてからまとまった予算を作り、じっくり挑戦しようと思ったんです。

 

-モー株式会社さんと知り合ったきっかけは?

 

モー株式会社 春岡社長
「嬉しかったのは、
『もう紙には戻れない!』
という言葉」
若干にやけ顔のモー株式会社 春岡社長

 

大石:いろんな人に自分の構想を話している中で、義兄の同僚の同級生ということで紹介していただいたんです。

春岡:2014年の4月でしたよね。僕も起業したばかりで、まずは話を伺ってみようと。お会いする前は、バロックという一企業の中で使う顧客管理システムを求めていらっしゃるのかな、と思ったのですが、実際にお会いしてみると「全国の花屋が使えるようなシステムを作って、展開したい」と。これはかなり本腰を入れてやらなければと思いました。と同時に、IT化が遅れている業界で新しい挑戦ができるというところに面白さも感じて。

大石:1週間ほどで設計図みたいなものが上がってきたのかな。「自分が欲しかったイメージがここにある!」とびっくりしましたよ(笑)。ようやく自分の想いが形になると思いました。

 

-システムを作っていく上で、課題はありましたか?

 

春岡:制作が始まってバロックさんに通うようになったのですが、花屋では本当に、紙の文化が完成されているんです。注文の電話を受けながら、複写式の伝票にデータを書き込む。それを元に商品を作って送り出す。それでも十分業務は成り立つ。今回はこの流れの中に、「パソコンにデータを打ち込む」という1作業をいかに抵抗なく加えていただけるかが課題でした。

大石:それは必須ですよね。パソコンに少し抵抗を感じる世代でも挑戦できるものでないと。実際、花屋は伝票に書き込んだ“後”が大変なんです。紙に書き留めたデータを元に、カレンダーにスケジュールを書き写し、発注書を作り、月末には請求書も作らなければならない。そこで「GEM CASE」では、誰もがデータ入力ができ、お客様がいつどんなお花を買ったというような顧客管理を行いながら、スケジュール作りや発注書出し、請求書出しも簡単にできる仕組みを作ってもらいました。店全体で情報を共有できるので、請求書やカードに添える宛名の間違いも格段に減って、スタッフも喜んでいます。また電話で「○○さん、いつもありがとうございます」というような対応もスムーズにできるようになりましたし、DMの発送なんかも楽になりました。

春岡:あと、回収作業のチェックですね。

大石:そう!花屋にとって、企業などに鉢物をお届けした後の回収作業も欠かせない業務なのですが、これも情報が共有できていないがために、忘れることもあったんです。それで月に数万単位の損失とか…。そこでデータ画面に回収チェック欄を加えていただいたんですが、本当に役立っています。それからシステムには、還暦や喜寿、米寿など、お祝いの花に関する決まりごとなども入力しておけるので、知識がまだ少ない新人スタッフに伝えるのにも便利だし、あとの世代にも残せます。

春岡:こんな風に、今回は大石さんから明確なリクエストをいくつもいただけたので、非常にやりやすかったですね。嬉しかったのは、一般公開の半年前からデモ版を使い始めてもらったのですが、わずか1週間ほどで「もう紙には戻れない!」と言ってくださったこと。花屋の仕事が変わる瞬間に立ち会え、これはもう、一軒でも多くの花屋に使っていただかなければと思いました。

 

-そして2015年3月からサービスがスタート。反応はいかがですか?

 

春岡:まずはfacebookやHPを持っている花屋にチラシを郵送したりメールでお知らせさせて頂きました。パソコン環境は整っていると思われる箇所ですね。facebookに広告を出した際には3万アクセスほどの反応をいただき、「やっぱり皆、こういうシステムを求めていたんだ」と実感しました。また花屋だけでなく、アレンジメントなどの教室からも「生徒さんの情報管理に使っています」というコメントをいただいたりして、こちらが「へぇ〜!」と思わされることも多いです。

 

-大成功ですね。

 

春岡:ただ会員登録をした後、どんどんデータ入力をして活用してくれているユーザーもいれば、1,2度データを入力したあとは放置中というユーザーもいて、その差は何なのかを検証中です。

大石:やっぱり、データを入力することに少し面倒さを感じていらっしゃるんでしょうね。でもコツコツ入力し、ある程度数がまとまったら、すぐにその便利さがわかるようになる。その魅力、本当は僕らが花屋を一軒一軒訪ねて行って、伝えたいくらいなんですが…。

春岡:「GEM CASE」にご登録いただいた会員向けになるのですが、システムの使い方の操作説明動画も用意していますので、そのあたりも活用してもらえるよう努力したいと思っています。あと驚いたのは、「便利すぎて思ったように広がらない」という盲点があったこと。あるユーザーさんを訪問して、「こちらが便利に使っていらっしゃることを、宣伝に使っていいですか?」とお願いしたところ「それは困る。ライバルも便利になるから」と(笑)。これって花屋業界特有の傾向なのでしょうか。

大石:いいモノを見つけたら内緒にする傾向ですよね(笑)。でもこれからの時代、そんなことしていても意味がないと思うんです。顧客の注文の傾向などをきちっと把握して、今は1年に1度しか花を買わない人に2度、3度と買う機会を増やしていく。そうすることで、1店舗だけでなく、業界全体の売り上げもアップしていくのではないかと。

春岡:また今回「GEM CASE」では、無料プラン(標準機能の提供)を作ることで、より幅広い方に使っていただけるようにしたのですが、有料プランに付けた、花の種類や売り上げをグラフ化できる機能は、お店の運営にかなり有益なのではと思っています。

大石:月に10,000円で、請求書出しなどにかかっていた勤務時間を削減できるだけでなく、店の売り上げを分析したり、仕入れ・販売戦略も立てやすくなるんですもんね。安いですよ(笑)。 売り上げが上がればその分、また一歩突っ込んだ、自分のやりたいことができるようにもなりますからね。これからの花屋業界が、「GEM  CASE」を取り入れながら、個性をのびのびと発揮できる場所になっていくことを願っています。

春岡:僕たちシステム開発に携わるものからしても、こうした新しいこと、新しい業界にどんどんチャレンジしていきたいと思います。まずは「GEM CASE」。ユーザーの方のご意見などもいただきながら、より進化したサービスをお届けできるよう、精進します!

 

●GEM CASE

https://gem-case.jp/service/index.html

https://www.facebook.com/gemcase.jp/

●BAROQUE 株式会社

http://www.baroque-flowers.com/

●モー株式会社

http://mo-inc.jp/

 

《今回の対談場所》

BAROQUE Reatil Shop 福岡市中央区赤坂3-13-27
BAROQUE Reatil Shop
福岡市中央区赤坂3-13-27

 

 

--------------------------------------------------

鹿田吏子(しかだ・さとこ)

ライター・編集者。情報誌編集部を経て2006年よりフリー。福岡を拠点に、グルメ、ファッション、ビューティ、ブライダル、企業取材、人物インタビューなどを行う。

趣味は国内1泊旅行。好きな食べ物は牡蠣、日本酒。

糸島エリアのガイドブック「ぐる〜り糸島」編集長。

http://www.yugebun.com/bunpeido/guru_ito/

 

  • Category:GEM CASE
  • Author:はるおか